国債

投資は初心者という人でも安全な資産運用法として、国債をピックアップ。投資のメリット・デメリットに加えておすすめ商品も紹介しています。

初心者でも安全な資産運用・国債について

国債

国債とは、国が発行する債券です。簡単に言えば、国債への投資とは、「日本にお金を貸して、利息をもらうこと」です。

国債は返済期間に応じて、「5年国債」「10年国債」などがあります。

国債は毎月発行していますので、証券会社や銀行、郵便局などの金融機関にいけば簡単に買えます。

国債のメリット

国債のメリットを、いくつかご紹介しましょう。

1.安全性が高い

国債の最大のメリットは、なんと言っても「投資先としての安全性の高さ」でしょう。

国債とよく比較検討される投資商品のひとつとして、社債が挙げられます。

社債は、企業が個人などからお金を借りるために発行する債券ですが、その企業が破産・倒産してしまえば、その時点で残っている資産を分配しての返済しかできないため、大損となってしまいます。

こうした点を考えると、社債は、その企業の業績・信頼度にもよりますが、全体的には「元本に対する安全性については不安な面もある投資商品」といえます。

これに対して国債は、「一企業などではなく、日本という国が返済を保証してくれている」という大きな強みがあるのが魅力です。

個人が買える国債としては、個人向け国債と新窓販国債(利付国債)が挙げられますが、どちらも満期まで保有していれば、日本が経済的に破たんしない限り、元本と利息は保証されます。

さらに、個人向け国債については「一定の期間が経過するまでは中途換金(中途解約)が認められず、さらに中途換金時に利子が差し引かれる」というペナルティはあるものの、「たとえ中途換金でも元本を割ってしまうことはない」という魅力があります。(※新窓販国債(利付国債)の中途換金は元本割れのリスクがあります)

できるだけしっかりした元本保証を求める人に、国債はまさにうってつけの投資商品といえますね。

もっとも、この話を聞くと「でも、日本そのものが借金だらけで危ないっていうじゃないか、そんな国に保証されても」と、思う人もいるでしょう。

しかし、たとえば銀行などでの定期預金のように「1,000万円までなら元本を保証するペイオフがある」というのも、あくまで「日本という国があってこそ生きる制度」です。

日本が財政破たんして、円の価値そのものが暴落すれば、たとえ元本が保証されていても大損となるでしょう。

それに、そもそもペイオフは、同時に多くの金融機関がバタバタと破たんすることなど前提にしていないので、「日本が財政破たん→金融機関も次々破たん」となった場合、このペイオフが機能するかどうかさえ疑問、といえるのです。

つまり「万が一、国債が返せないような状況になったら、預貯金はもっと危ない」というわけですね。そういう点を考えても、安全性は「預貯金<国債」ということになるのです。

2.ペーパーレスによるリスク低減

国債のメリットとしては、「ペーパーレスにより、紛失や盗難・偽造・焼失などのリスクがほぼない」というのも挙げられます。

国債は平成15年1月から、国債証券の発行をしなくなり、その管理は「国債の保有者が金融機関に開設した口座(振替口座)でおこなう」という形となりました。

国債証券が発行されていた時代は、その証券の紛失や盗難・偽造・焼失などのリスクがあったわけですが、ペーパーレス化によって、そうしたリスクが大幅に低減されたのです。

ですから、国債は管理の面においても安全性が高いといえます。

ただ、「手元に証券がないと、本当に国債を保有しているという証拠が無いみたいで不安」と思う人もいるかもしれません。

しかし、振替口座に購入や売却の記録が残りますし、金融機関からは「取引残高報告書」も発行されるなど、保有を確認できるものがちゃんとありますので、心配は不要です。

3.取扱い金融機関が多くて便利

通帳のイメージ

国債のメリットとしてはもうひとつ、「取扱金融機関が多いので利便性が高い」という点も挙げられます。

たとえば個人向け国債については、2018年3月1日時点で、証券会社や銀行をはじめとした1038もの金融機関が取り扱いをしていると、財務省ホームページで発表されています。

ちなみに2018年2月28日時点での金融機関数は、ニッキンのデータによると1530となっていますから、約3分の2の金融機関で、個人向け国債が申し込みできる、というわけです。

「日頃利用し慣れている金融機関での手続きがしやすい」というのはありがたいですね。

新窓販国債(利付国際)は、個人向け国債よりは取扱金融機関が少ないですが、それでも2018年3月1日時点で705の金融機関が取り扱いをしており、こちらも他の投資商品と比べれば十分多いといえます。

4.初心者に安心の投資環境

個人向け国債の場合、最低金額1万円から購入可能なので、お小遣いの範疇で投資できます。

一般的に、投資には相当額の資金投入が必要というイメージが付いてまわり、興味こそあれど、一歩が踏み出せない人も多いでしょう。

国債に関する口コミには失敗談や慎重論が目立ちますが、発行者が「国家」であるという安心感と、わずかな金額で債権者となれるというメリットを知っておく必要もあります。

また、各種民間金融機関が発行する社債の場合、市場の動向を追い駆ける必要がありますが、

固定タイプの国債(「固5年」「固定3年」は、発行の際、満期時に受け取る利子の金額が確定しており、将来の用途に応じた利用計画が立てられます。

満期を迎えるまでの間、営業担当者から過剰なセールスや、運営上のアドバイスが届けられることもなく、わずらわしい思いもしません。

一方、変動タイプの国債(「変動10年」)の場合は、投資のイロハを少額から学べるのが魅力です。

さらに、財務省をはじめとする公的機関、あるいは金融庁が認可する金融機関からの信頼できる情報も豊富にあるため、怪情報に惑わされずにすみます。

固定タイプの国債と同様、他の金融商品のセールスなどが届けられるわずらわしさの不安もなく、あくまで自身のペースで投資関連の仕事と経験を重ねて行けます。

「変動10年」の購入をキッカケに、自身の性格と投資行為との相性、すなわち「向き・不向き」を見極めた上で、前者であれば他の金融商品の購入を検討するなど、リスクを最小限に抑え、段階を踏んだ投資の入口となる商品です。

国債のデメリット

国債は安全性や利便性にすぐれた投資商品ですが、デメリットもいくつか存在します。

1.ハイリターンとは言えない

国債を「投資商品」として考えた場合、大きなデメリットと言えるのが「利回りの低さ」です。

個人向け国債の場合、2018年3月時点で税引き前の表面利率は0.05%。ここから税金分を引くと0.0398425%となり、銀行の定期預金などと比べても、決して高金利とはいえません。

投資家の中には「多少リスクが高くても、利回りの大きい商品を狙いたい」という人も少なくはありませんが、そうした人に対しては、国債は「リターンが物足りない、不向きな投資商品」といえるでしょう。

2.中途換金の可能性がある人にはデメリット大

国債は預貯金と比べて、中途換金の可能性がある人にとってはデメリットが大きいというのも知っておく必要があります。

まず、個人向け国債については「いつでも中途換金可能」というわけではありません。発行後1年が経過するまでは、中途換金そのものができないのです。

また、1年経過後に中途換金をするにしても「直前2回分(半年分の利子×2回分)の利子が差し引かれる」というペナルティがあるため、1年経過後すぐに中途換金した場合、利息は実質ゼロになるわけです。

そして新窓販国債(利付国債)の場合、中途換金自体はいつでも可能ですが、売却額は市場の情勢によって変動するため、売却時に元本割れの損が出てしまうというリスクがあります。

もちろん逆に、売却益が出るというケースもあるのですが、投資の経験を積んでいない人にとってはこのハードルはかなり高いといえるでしょう。

まとめると、個人向け国債については「中途換金ができるまで期間の縛りがあり、利息が実質ゼロになる場合がある」、そして新窓販国債は「中途換金のタイミングよっては元本割れリスクが出る」となります。

3.他の投資商品の勧誘を受ける可能性も

国債そのものについてのデメリットというわけではありませんが、「国債の申込みに行ったところ、投資信託をすすめられた」など、金融機関で他の投資商品をすすめられてしまうというケースもあり、この点を面倒に感じてしまう人もいます。

金融機関側は、国債よりも別の投資商品を買ってもらった方が、購入手数料や信託報酬などが手に入る分、得なのです。

そして「国債を買う=投資に興味がある人だといえるから、せっかくならもっと他の投資商品をすすめたい」などと考え、他商品のセールスをはじめてしまいがちなのです。

4.投資を学ぶ場面が少ない

固定金利タイプの国債の場合、購入した後は満期をじっと待つだけです。そのため、中途換金の見極め、追加投資の判断といった投資の感覚やスキルを学ぶ機会というのはなかなか訪れません。

多少のリスクが承知したうえで、少しでも利子を自身の手で生み出したい、経験を積みたい、一喜一憂して生きていることを実感したいとお考えの方には、固定金利タイプの国債は不向きな商品です。

一方、変動タイプの「変動10年」であれば、経済情勢の推移を観察しながら中途換金が可能ですが、金利の上下幅は他の多くの金融商品と比較すると小幅で、投資のダイナミズムの実感という点では、やはり不向きな商品と言えるでしょう。

国債購入に際して踏まえておきたい関連知識

国債を購入するには、毎回公示される募集期間内に、金融機関などで所定の申し込み手続きが必要です。希望購入額、購入窓口となる金融機関の預金通帳、印鑑などを持参してください。

証券が発行されず、口座上の記録で管理されるペーパーレス金融商品のため、初めて購入する際は、国債取引用の新規口座を開設する必要があります。口座開設に際しては法律に基づき、運転免許証、マイナンバーが記載された書類、印鑑などの提示が必要となり、金融機関によっては口座管理手数料の負担が生じる場合もあります。

国債のおすすめ商品

固定5年

国債「固定5」
画像引用元:財務省「固定5年」商品概要
https://www.mof.go.jp/jgbs/individual/
kojinmuke/main/outline/kotei5/

「固定5年」は、発行時に設定された利率が満期まで変わらない「固定金利」の国債です。
募集期間開始日の2営業日前の市場実勢利回りを基に計算した「基準金利」をもとに利率を計算します。

例えば、2014年3月に発行された第35回の国債は、基準金利が0.20%で、利率は0.15%(2014年6月時点)。例えば100万円分あったとしたら、1500円の利益になり、そこから20%の税金(300円)がかかるので、最終利益は1200円となりますね。

発行日から1年以降は、原則として中途換金が可能です。

ちなみに中途換金額は「額面金額+経過利子相当額-中途換金調整額」で、中途換金調整額は「直前2回分の税引前の各利子相当額×0.79685」で算出します。

災害救助法の適用対象となった大規模自然災害被災時、国債保有者本人の死亡時には、換金できる特例も設定されています。

このように、発行された時点で最終的な投資結果を知ることができるのが「固定5年」なのです。

国債にはほかにも金利が変動する「変動10年」と「固定3年」がありますが、利率とリスクを考えるとこの「固定5年」が一番おすすめできるといえるでしょう。

変動10年

「変動10年」は、半年ごとに運用利率が見直される、変動金利を採用した国債です。

経済状況の変化などにより上下を続ける実勢金利の動きに応じ、クーポンと称される適用利率を随時見直し。ときどきの利払日に受け取る利子の金額に増減が生じます。

たとえば固定金利の国債の場合、受け取る利子は発行時に設定された利率に基づく金額と変わりません。

しかし「変動10年」では受取利子の金額は増額します。

3年後の実勢金利が現時点より上昇した場合では利子は増えますが、反対に利払日の実勢金利が発行日と比較して下降した場合は減額となります。

発行日から1年経過以降は、原則として購入金額の一部もしくは全部の中途換金が可能で、実勢金利の推移を確かめながら、債権者が換金のタイミングを見極められるます。

加えて、災害救助法の適用対象となった大規模自然災害の被害を受けた、あるいは国債保有者本人が死亡した場合には、いつでも換金が可能な途中換金の特例が設定されています。

このように発行された時点では最終的な投資結果は確約されず、実勢金利の動向と債権者の判断で受取利子の金額が変動するのが「変動10年」です。

おすすめの「固定5年」と比較した場合、投資の醍醐味を実感したい、一定の経験値をお持ちの方向けの国債だと言えるでしょう。

固定3年

国債「固定3」
画像引用元:財務省「固定3年」商品概要
https://www.mof.go.jp/jgbs/individual/
kojinmuke/main/outline/kotei3/

国債「固定3年」は「固定5年」と基本同じで、発行時に設定された利率が満期まで変わらない「固定金利」の国債です。
募集期間開始日の2営業日前の市場実勢利回りを基に計算した「基準金利」をもとに利率を計算します。

発行日から1年経過以降は、原則として中途換金が可能です。

また「変動10年」同様、災害救助法の適用対象となった大規模自然災害の被害を受けた、あるいは国債保有者本人が死亡した場合には、いつでも換金可能。

「固定5年」と比較して満期までの期間が短い国債ですので、短期間で運用して何らかの資金に充当したい方、リスクを抑えて確実に金利を確保したい方におすすめです。

プラスアルファの個人向け国債関連基礎知識とおさらい

このように個人向け国債は「変動10年」「固定3年」「固定5年」の3種類が発行されており、購入者それぞれのニーズや目的にマッチした商品の選択が可能です。

金利に関しては「変動10年」は半年ごとに変わる変動金利、対して「固定3年」「固定5年」は満期まで変わらない固定金利が採用されています。

国債の最低額面金額の5万円に対し、個人向け国債は最低金額1万円から1万円単位で購入可能です。個人での購入であれば、購入資格の制限はありません。

個人の債権者へのリスク回避対策として、経済状況の変化に伴い、仮に実勢金利が低下した場合にも、年率0.05%の最低金利が保証されています。