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ネット上では、「みんなで大家さんは怪しい」といった噂が多数流れています。噂の根拠の多くは、「元本保全されながらも利回りが高いから」といった、出資者に対して都合の良すぎる商品性質に由来するようですが、それは過去の実績を見る限り「怪しい」という理由にはなりません。
それよりも気になるのが、業務停止などの行政処分を受けたという噂。過去を紐解いてみると、確かに行政処分の措置は事実だったようです。いったいどのような理由で行政処分がおりたのでしょう?その内容次第では、たとえ過去の実績が良い商品だったとしても、大切な資産を預けるには躊躇してしまいます。
ここでは、行政処分の内容を事実に基づいて説明し、そのうえで本当に投資に値する商品かどうかを筆者なりに考察してみます。
平成25年5月、みんなで大家さんは、大阪府から60日間の業務停止処分を受けました。
完全休業命令というわけではなく、「不動産特定共同事業に係る業務」の停止命令です。ただ、みんなで大家さんの業務のほとんどはこの業務に該当するため、実質的には営業活動のすべてを停止させられたことになります。
不動産を取得して速やかに出資者を募ることをなりわいとする同社にとって、これは極めて大きな処分となりました。
行政処分の理由にはいくつかありますが、そのうちの最大の理由が、不健全な債務超過です。簡単に言うと、仮に運用不動産が元本割れを起こした場合、社内に出資者の資産を守るための資金が不足しているということです。
具体的な経緯として、大阪府は、みんなで大家さんを運営する都市綜研インベストファンドの平成23年度財務諸表において、32億円程度が過大計上されていることを指摘。仮に適正な会計処理が行なわれた場合、経営状態はきわめて不健全と判断し、「現状は不動産投資業務を行うに値しない」、「60日間は業務を停止して、適正な会計処理システムを作りなさい」と命令したのです。
出資者は青ざめたことでしょう。やっぱり詐欺だったか、と絶望した人もいることでしょう。
当時、一部では運営会社の破綻もささやかれたようですが、運営会社は大阪府の処分を全面的に受け入れて、出資者に不利益の出ないよう迅速な対応をとりました。この迅速な対応によって出資者の資産は守られたという経緯です。
根本的な疑問として、債務超過は本当にあったのでしょうか?
会社の債務とは、家庭の借金とは異なり、帳簿処理上の形式的な話になります。よって、例え債務超過であったとしても、一概に不健全な経営状態を指すわけではありません。
この点を詳しく調べてみたのですが、どうやら運営会社が破産するような「実質的な債務超過」の状態にはなかったと考えられます。
問題の背景として、みんなで大家さんが採用していた会計処理法と、大阪府がやってほしかった会計処理法との間に認識のズレがあったようです。
運営会社である都市綜研インベストファンドは、法人税法にしたがって会計処理を行っていました。一方で、大阪府は不動産特定共同事業法という法律にしたがって会計処理をすべきだ、と主張しました。
会計処理の基準となる法律が異なれば、実質的な財務状態が同じだったとしても、健全にも不健全にもなるでしょう。
ちなみに、どちらの法律を採用するのが正しいのでしょうか?実は、ここには明確な基準が存在しません。都市綜研インベストファンドにもきっと顧問税理士はいるでしょうから、税理士の経験に基づく一般的な会計処理として、法人税法を採用したのだと思います。
ただ行政の見解は異なった以上、民間企業としては行政に従うのが筋ということでしょう。
なお、行政処分の後、出資者向けに実際の財務状態が公開されました。それによると、保有する不動産の現在評価額が88.8億円。対して対象不動産の取得にかかわる債務が11.4億円です。
帳簿処理上の形式的な話としては32億円程度の債務超過だったようですが、このように、実質的には債務超過の状態にはありません。
家庭に照らして考えるのは的外れかも知れませんが、1140万円の住宅ローン残額と3200万円の預貯貯金を同時に持ち合わせている状態。個人的にはあまり深刻な話ではないように思います。
最後に、行政処分後の運営会社の対応について見てみましょう。
まず、運営会社である都市綜研インベストファンドは、速やかに行政の指示にしたがった会計処理構築に着手しました。再度営業認可をもらうために必要な資金調達も確実に進めました。
一方で、出資者向けには同時進行で現状の説明を行っています。行政処分の影響で生じた解約希望者の数もふくめ、いっさいのグレーな部分も残さない、非常に誠実な説明内容でした。万が一運営会社が破産した場合の出資者保護の方法まで、シミュレーションの中で説明されています。
これらのことから、事後対応には問題がなかったと考えてよいでしょう。
なお、行政処分をはさんだにも関わらず出資者に対する分配金を一度も欠かさなかったことは、この会社の体質を知るうえでできちんと考慮すべきです。
業務停止という行政処分は実際にあったこと、そして行政処分以後の運営会社の対応には、まったく問題がなかったこと。これは事実です。
出資の判断基準は人それぞれ異なりますが、高利回りの安定商品を求める人には決して悪い投資先ではないと考えられます(あくまでも個人的な主観ですが)。