金投資

リスクの少ない資金運用として、昔から金投資があります。価格変動はあるものの、金という現物があるからこそ価値がゼロにはならない、という理屈で安定性が評価されています。

しかしながら、とくに資産運用の初心者においては、現物があるからといって必ずしも安全・安心ではないということもよく理解しておきましょう。

金投資にもリスクがある

金投資を考えている人は、リスクを十分に理解しておいてください。理解が不十分なまま「安全・安心」というイメージだけに基づいて金投資を行うと、思わぬ損失を被ってしまう可能性もあります。

価格変動リスク

金の価格は常に変動しています。古物商店の出入り口付近に「本日の金価格」などという看板を見かけることがありますが、実際には1日1回の頻度ではなく、24時間常に変動しています。

金価格は世界情勢が安定すると安くなる傾向があり、逆に戦争やテロなど不安定な情勢が生じると価格が高くなる傾向があります。また、原油相場が上がると急騰するという傾向や、季節性による価格変動もあります。

「価値がゼロにならない」という点だけを考えれば、実質的には株式投資とあまり変わりません。その意味では、金投資は株式投資に似ていると考えておいたほうが無難であり、価格の予想においてはむしろ株式投資よりもはるかに難しいと考えておきましょう。

為替変動リスク

金相場はドル建てで取引が行なわれています。仮に金の価値が一定・不変と想定しても、為替相場が変動している限り、投資家から見れば金価格が変動していることと一緒です。

為替相場の動向には多くの要素が絡んでおり、初心者が将来の相場を予想するのは極めて困難です。政府による為替介入など、人為的な要素で価格が大きく変動することもあります。

金利がつかない

リスクではありませんが、金は利息も配当も生みません。仮に金価格も為替相場も一定・不変だったと想定した場合、購入・売却にかかわる手数料分だけ元本割れを起こすことにもなります。

価格変動のストレスを少しでも埋めてくれるのが定期的な金利であり、また、ささやかなお小遣いとしての幸せを与えてくれるのも金利です。元本価格の変動のみという金投資の性格に対し、いささか不満を覚える人もいるかも知れません。

以上、金投資のリスクについて確認してみました。

リスクだけを論じればマイナスな要素が浮かび上がってきますが、金投資は歴史の古い世界定番の資産運用法です。

利益を生むという考えではなく、リスク分散と長期投資のスタンスを守る限りでは有効な投資法の一つではないでしょうか。